【ヘンプ糸のつくり方】Part2.生繊維からの糸づくり

『ヘンプ糸のつくりかた』シリーズ。「Part1.精麻からの糸づくり」に続き、今回は「Part2.生繊維からの糸づくり」です。

Part2.生繊維(“精麻”でない長繊維)からの糸績み

まず「生繊維」という表現。どういえばよいか悩みました・・。

手でつくる糸という点ではPart1の精麻と同じなのですが、精麻は糸にする前に発酵したり、繊維以外の不純物を剥ぎ落としたり、、という原料加工より手間暇(日本独自)かかっており、区別したいのが趣旨です。「原繊維」「未加工繊維」といえばよいものでしょうか。。

剥いだ生の繊維を、細かく裂いて撚ってつくった糸。紐・縄の加工に近いかもしれません。

縄文時代の地機(じばた)。トヨタ産業技術記念館で撮影させていただいたものですが、庶民的、原始的なイメージです。

トヨタ産業技術記念館にて。

大麻をリスペクトしてくれるトヨタ産業技術記念館。素晴らしい博物館です。http://www.tcmit.org/

原始的な糸とはいえ、工夫すれば、現代的な製品にも使えると思ってやみません。多くの麻ファンが切望しているであろう『日本原料での糸づくり』を考えたときに、Part1の精麻からの糸づくりだと手間暇・時間がかかりすぎて、どうしても伝統工芸的な領域(アクセサリー含む)に限られてしまいます。

手間暇かかる”精麻加工”を介さずにつくれる糸・・・を考えたときに見直したいと常々思ってきました。

下記は紡績用の長繊維原料です。茎から繊維を取り出して、軽く裂いて乾燥させたものです。ちなみに、細い高品質な糸をつくるためには、紡績工場に入る繊維原料もこれくらい長く均一なものでないといけません。(短い繊維だと、太い糸・チクチクした粗悪な糸しかつくれません・・このあたりは次回Part3で。)

ただ、この状態でも1本1本をつないで軽く撚ってあげれば糸になりますよね?!

紡績用の原料となる長繊維。

ヘンプは成長力が早く、背丈も高いので、採取できる繊維も2~3mほどと長いです。割いてつなぎあわせることで衣料品として使ってきたのは日本も同じです。

日本でも、農民・庶民では、このような手法でつくられた糸も使われていた、と思われます。

BORO。寒い東北地域では、木綿の栽培が難しく、衣類に用いるのはもっぱら麻でした。(作品は、安間信裕氏コレクション@自然布展より)

もちろん、この糸で生地にしても(とっても頑丈ですが)硬すぎるので、砧で叩いたり、灰汁で煮たり、日光に照らしたり、(とにかく使い込んで)柔らかく白度をだしてきました

となると、原始的な手法を用いてつくった糸であっても、現在的な生地加工/製品加工技術を使えば、現在的な国産麻原料の製品づくりができるのでは???と思うのです。昔の人たちがやってきたように。日本の糸/生地/製品の加工技術は世界に誇るべきものが多々ですので。

ここにチャレンジしてみたいと思うのです。

<注>一般的な工業的な糸づくりは紡績で行います(次回参照)。ただ、紡績のための機械を動かすためには、ウン百キロという多量の繊維原料が必要となります。また、ヘンプ100%紡績を生繊維から行うことができる工場もないといって良いかと思います。『国産繊維原料のヘンプ糸』への要望はとても多いのですが、こうした理由で実現できないのです。

 

ところで、こんなプロジェクトがアメリカでありました。

『アメリカ自国で栽培・採取したヘンプ繊維から、国旗をつくるプロジェクト』です。アメリカ建国記念にかかわるイベントだそうです。

下記ページをご覧ください。シンプルな機械ですが、茎から繊維を剥いで、糸をつくりだしてます。手織機であれば生地も織りたて(少なくとも緯糸に用いる位は問題ないでしょう)られますし、旗や暖簾や、作務衣くらいの衣であればつくれそうです。

■アメリカ自国産ヘンプで国旗をつくる、の話
https://asafuku.net/?p=3060

これら器機をご存知・つくれる方はいらっしゃいませんか・・!?

 

繰り返しになりますが、多くのヘンプファンが待ち望む『国内原料での糸づくり』を考えたときに、この用途であれば、ある程度工業的に糸を量産することができると思いますし、国内の麻農家と共生(継続)した取り組みができるのでは、と思っております。何かアイディア等お持ちの方、ぜひ御連絡ください。

次回は、Part3として『ヘンプ紡績糸』を取り上げたいと思います。

 

■メールで購読されませんか?
以下にメールアドレスをご登録ください。更新通知をお送りいたします。





関連記事一覧

コメント

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。