「黄色ぶどう球菌」と「アトピー」の関係。「皮膚・常在菌」のススメ。

諸悪の根源『黄色ぶどう球菌」

「黄色ぶどう球菌(おうしょくぶどうきゅうきん)」 というのは諸悪の根源と呼ばれています。

「ぶどう」と言っても、果物のブドウとは関係なく、菌体そのものは球菌の仲間で下記のような形をしています。(Wikipediaより

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黄色ぶどう球菌

 

いくつかの球菌が塊になって、その姿がブドウの房のように見えることから「ぶどう球菌」と呼ばれているようです。

皮膚に傷ができたときに「化膿」しますよね。この化膿して黄色くなるのは、黄色ぶどう球菌が、皮膚内部から沁み出してきた体液をエサを食べて増殖している証拠。 このまま放置すると皮膚の内部まで黄色ぶどう球菌の増殖が進むことになり、熱が出たり大変なことになる(詳細後述)ようです。

黄色ぶどう球菌は、いわゆる化膿菌なんですね。なので、ちょっとした傷でも、消毒が不十分だと大変なことになる恐れがあります。

 

黄色ぶどう球菌の毒素と人への疾病

黄色ぶどう球菌の毒素、ならびに、その毒素が人に与える影響について引用させていただきました。さまざまな重大疾患を引き起こす原因となります。

黄色ぶどう球菌は、コアグラーゼという酵素を算出し、人の血漿(けっしょう)中のフィブリンを析出(せきしゅつ)させて血漿を凝固させる。その他にも、溶血毒、白血球殺滅毒、腸管毒(エンテロトキシン)、皮膚離脱毒、毒素性ショック症候群毒素を産出する。

黄色ぶどう球菌による人への疾病は、毛嚢炎(もうほうえん)、とびひ、中耳炎(ちゅうじえん)、結膜炎、肺炎等の化膿性炎症、食中毒、火傷のような皮膚脱離が起きる熱唱性皮膚症候群、腸炎、そして最近病院や介護施設で発病が問題になっているMRSA(メチシリン耐性黄色ぶどう球菌)感染症などがある。

 

黄色ぶどう球菌 はいたるところに

人の環境には、いたるところに黄色ぶどう球菌はいます。

ドアノブ、リモコン、電車のつり革など、人の手が触れるところには特に多いようです。

なので、人の肌にも付着しています。 ただ、数が多くなければ(増殖しなければ)そう問題は引き起こしません。逆に増えないように対策をとる必要があります。

 

食中毒の原因にもなりえる

ところで、手指や鼻腔についた黄色ぶどう球菌が食品に付着すると食中毒の原因になるので気をつけて。

一定量まとまって食品の中で増えると「エンテロトキシン」という毒素ができるそうです。 この毒素は、加熱しても沸騰させても消えないそうです。しかもニオイもしないようで、非常に怖いですね。

時間を置いて食べる食品を扱うときには「ケガをしている人はNG」「しっかり手をあらう」ようにしないといけないのは、この理由です。

 

アトピー性皮膚炎の方

アトピー性皮膚炎で悩まれている方の皮膚には、この「黄色ぶどう球菌」が存在します。

この「黄色ぶどう球菌」がかゆみを引き起こします。 かゆいといって掻くと、なおさら、皮膚表面が傷をついて、黄色ぶどう球菌の増殖の原因になり、さらにかゆみを増していきます。

この「悪循環」...聞くだけで辛くなります。

 

根本解決のキーは「常在菌」

実は、「表皮ぶどう球菌」という似たような菌も皮膚にはいます。言葉は似てますが、この「表皮ぶどう球菌」は「皮膚・常在菌」のひとつで、人の健康な肌を促進する役割をもっています。(わかりやすくいうと、善玉菌

常在菌というと、一番有名なのが「ビフィルス菌」ですね。これは体内(腸内)常在菌です。ヨーグルトとか乳酸菌飲料は、この常在菌を摂取しています。「表皮ぶどう球菌」は、このビフィルス菌の皮膚版とでも捉えてください。)

皮膚がしっとりつやつやしている状態は、実は、この「皮膚常在菌」が活性化している証拠なのです。

アトピーの方の皮膚にも「皮膚常在菌」である「表皮ぶどう球菌」が少なからず存在します。となるならば、基本的な対処方法としては、「黄色ぶどう球菌」を減らし、この「皮膚常在菌」が好むような環境にもっていけばよい、といえます。

ただ、「黄色ぶどう球菌」がイヤだからと「消毒」ばかりしていると、「皮膚常在菌」も一緒に殺菌してしまうことになります。

消毒後も、人の皮膚はまた「皮膚常在菌」を生み出しますが、アトピーなどで皮膚に傷がある方は既にアルカリ性に傾いており、「皮膚常在菌」を生み出しやすい環境ではありません。(逆に、アルカリ性を好む黄色ぶどう球菌(悪性菌)が活性化します。)

消毒も重要ですが、その環境=常在菌が繁殖しやすい環境 をつくっておかないと、まったく意味がない状況になってしまいます。

それでは、どのようなことに留意したらよいのでしょうか? ここでは、衣類という観点から、ご説明いたします。

 

皮膚常在菌(表皮ぶどう球菌)を育てる(育菌する)ために

皮膚常在菌(表皮ぶどう球菌)を育てる(育菌する)には、どうしたらよいでしょうか? 体内的な対処もありますが、ここでは体外的な対処として3つ紹介いたします。

1.紫外線から身を守る

皮膚常在菌は「紫外線」に弱いようです。紫外線は皮膚の細胞に悪い・皮膚ガンを誘発する原因になる、とはよく言われていますが、実は、皮膚の健康を司る「常在菌」までも遠ざけてしまうのです。

だからといって、UVカット化粧品や、紫外線対策クリームなど多様するのも皮膚にはよろしくありません。これらには紫外線吸収剤や紫外線反射剤が配合されており、常在菌にとっては、こういった刺激性の強い化学物質も好くないからです。

2.肌環境を微酸性に保つ

皮膚常在菌は「微酸性」を好みます。黄色ぶどう球菌等の病原菌の多くは「アルカリ性」を好みます。アトピーなどで傷がつくと、皮膚はアルカリ性に傾き、アルカリ性を好む病原菌が付着し増殖します。

3.汗をかく

実は、皮膚常在菌は「汗」が大好き

常在菌は、皮脂や汗を取り入れ(「エサ」にして)、酸を出します(酸性のオシッコやウンチをします)。この酸性の産出物が、、それが汗や皮脂と混ざって、皮膚はしっとりとします。

そのとき、皮膚は健康な肌の状態である微酸性に保ちます

「黄色ぶどう球菌」といった悪性菌が住みにくい環境ともなります。 そのためには、やはり「汗」をかくことが重要なのです。高温多湿だと言って、涼しいところにいると、常在菌が育っていかないことにつながってしまいます。

浴衣やステテコに手ぬぐい姿で内輪(うちわ)やセンスをパタパタ、という高度成長期以前の日本映画にあるような姿が一番健康的だといえます。

 

やっぱりヘンプ(麻)素材!

この皮膚育成菌を育てるための条件を考慮すると、やっぱりふさわしいのが「ヘンプ」素材といえます。

理由1)ヘンプには天然の紫外線カット性があります。

ヘンプには、紫外線カットの機能を天然にもっています。紫外線クリームもいりません。ご安心ください。

ヘンプの紫外線カット性

 

ヘンプの紫外線カット性試験結果

 

理由2)ヘンプは中性。健康な肌=微酸性に最も近い素材。

ヘンプは、コットンと同じく微酸性の素材です。健康な肌と同じ=常在菌が好む環境 という訳ですね。

(一方、コットンは、抗菌性がないので、黄色ぶどう球菌は繁殖を続けてしまいます。)

ヘンプは中性(微酸性)な素材

 

ちなみに、ナイロンやシルクは弱アルカリ性の素材です。また、コットンも「黄色ぶどう球菌」などの悪性菌が繁殖してしまうとアルカリ性に傾きます。アトピーの方は避けといた方がよい素材かと思います。

(注)ただ、ヘンプ素材とはいえ、比較的太い糸でゴワつき・チクチク感がある生地素材の場合はお気をつけください。皮膚刺激性がある場合は、肌に物理的なストレスがかかってしまいます。ご注意ください。

 

理由3)汗をかくためのウェア

常在菌は汗・皮脂をエサにしますが、夏など過剰に汗をかいてしまうときは、衣服にも助けてもらう必要があります。

ヘンプは、吸汗速乾性にも優れた素材。汗をすみやかに乾燥し、不快感を減らします。 しかも、消臭性に優れています。

衣料についた汗は、いろいろな菌とも相まって増殖してしまいますが、ヘンプの抗菌性と消臭性で、汗によるイヤなニオイを防ぎます。

汗をかいても快適・安心できる素材=それがヘンプです。

(参考)ヘンプの抗菌性(黄色ぶどう球菌を対象)   |   ヘンプの消臭性

 

まとめると

まとめると、中性素材のヘンプは、「紫外線」から身を守り、「黄色ぶどう球菌」などの悪性菌の繁殖を抑え減少させます。

結果、健康な肌の状態(中性・微酸性)を保ちます。(既に悪性菌が繁殖しておりアルカリ性に傾いいるときは、悪性菌を殺し、皮膚を中性・微酸性に戻します。)

中性・微酸性環境になれば、常在菌も好む環境であり、その良好な働きも活性化することで『美肌促進!』 につながると考えております。

今回、言葉だけの説明でわかりにくかったかもしれません。 ただ、これはいま最も追求したい分野です。共同研究をしてくださる方がいらっしゃいましたら、是非お声かけくださいませ。

 

『人体常在菌のはなし(美人は菌でつくられる) 青木 皐 著』

今回参考させていただきました書籍が『人体常在菌のはなし(美人は菌でつくられる)青木 皐 著』です。今回の話に関心もたれた方は是非ご一読ください。 特に、ナチュラルな生活を希求している方には、とても参考になる書籍かと思います。

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