麻幹(麻がら、おがら)の活用方法について(まとめ)。とっても奥深いです。

本日は、麻幹(麻がら、おがら)についてまとめてみました。日本人に精神面でも実生活においても欠かすことができない麻がら。また、捨てるとこなく石油や木材に代わる地上型のエネルギー資源として注目視されているます。

◆ヘンプの茎の構造

ヘンプ原料マップ

ヘンプの茎を中が空洞になっていますが、拡大すると、表面は繊維部になっており、その繊維部と空洞の間(白っぽいところ)は木質部と言われます。この木質部を乾燥させたものを「おがら(麻幹、麻がら)」といいます。

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◆「おがら(オガラ、麻幹、麻がら)」の用途

日本では、この「おがら」を様々な用途に用いてきました。伝統的な用途として紹介すると:

A.茅葺屋根の下地に

まず有名なのは世界遺産「白川郷・合掌造り」の茅葺屋根の下地として使用されています。岩手県など日本各地の茅葺屋根で使われてきました。

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白川郷・合掌造り(Wikipediaより)

合掌造りの紹介VTR。3:00頃をご覧ください。おがらが見えます。

岩手・南部萱(http://nanbukaya.jp/)の職人さん。第1回・日本麻フェスティバルより。

茅葺屋根 南部萱(岩手)http://nanbukaya.jp/茅葺屋根には麻の麻がら(繊維をとったあとの茎)が使われています(c)minoru TAKAHASHI

Posted by 麻の種 on 2012年7月14日

B.お盆で

お盆の迎え火、送り火では、オガラで火を焚きますね。お盆時期には、ホームセンターやお花屋さん、スーパーなどで販売されています。これは大麻のオガラです。

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大麻は古来より清浄な植物とされ、悪いものを祓い清めるとともに、燃やすことで清浄な空間を作り出すという意味が込められています。

C.お祭りの松明(たいまつ)

お祭りの松明として全国各地で使われてきました。例えば、岐阜県神戸(ごうど)地方のお祭り。無数の松明(オガラ)の明かりに照らされて、神社から担がれた「神輿」が「お旅所」に奉安される「火まつり」だそう。オガラがなければ、お祭りが成立しません。

神戸(ごうど)山王まつり(岐阜県神戸町役場Webサイトより)

D.麻炭

麻炭は着火が早いのでオガラを炭化させた麻炭粉を火薬に用います。現在ほとんどが海外(中国)産ですが、最高級花火には国産品でないとダメのよう。

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麻炭(姿焼き)花火用には微粉砕します。

たとえば、この感動的な「龍勢」花火の勢い・・約500mの高さまで上昇する原動力は、麻炭、それも、国産の麻炭でないと成しえないそうです。

E.子供の遊び道具に

下記はご存じの方も多いでしょう。群馬県岩島の麻栽培模様です。2:40頃からご覧ください。子供がオガラで遊んでいる風景が日本の原風景のようで好きです。手に持つとチャンバラごっこをしたくなります。

(参考)【群馬県】古代より綿々と伝えられてきた伝統技術〜岩島麻保存会〜


その他、現代的な使い方として:

E.麻建築材

麻がらをチップ状に粉砕したものと石灰を混ぜてつくる壁です。ヨーロッパを中心に、いま大きな注目を浴びている建築方法になります。

ヘンプクリートの断面 -石灰と水で拡散して壁材にします。-

ブロック状(レンガ状)に成型した使い方もあります。フランスのワイナリー「シャトー・マリス」では、この麻がらの建築物でワインを作っています

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オガラと石灰でつくる「ヘンプクリート」

この建築方式のメリットは、

1.とにかく軽い。
2.多量のCo2を固定化可能。

そして、何より特筆すべきなのが

3.天然の調湿・温度調整効果。
ヘンプクリートの無数の穴(多孔質性)が、室内を快適な環境に自然調整。記事では、天然のエアコンとして温度調整機能が発揮されているようです。
(Let’s Hemp Wine(ヘンプ・ワイン) https://asafuku.net/?p=552 より引用)

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F.馬などの家畜の敷料

このオガラのチップは、馬(特に、競走馬)の敷料としても用いられています。英国王室ご用達とのことです。藁(わら)と比べて、適度なクッション性、吸水性・消臭性があり、ホコリが少なく、防虫性にも優れています。

G.ヘンプペレット

微粉砕したオガラを熱で固めた「ヘンプペレット」は、燃料として木質ペレットに代わる可能性を秘めています。また、アンモニアなどの消臭力と自重の4倍ほどの吸水力があるので、小動物の足場として使われます。

昔、試作してみたヘンプペレット

H.プラスチックの充填材として

ヘンププラスチックとしても使えます。写真はフランスPlasticanaのヘンプシューズ。ブツブツなのがオガラです。

ちなみに、自動車などで使われるヘンププラスチックは強力性の強い繊維部分ですが、オガラ(木質部)は柔らかくプラスチックに強力性をもたせることはできないので、あくまでも石油由来プラスチック(ポリプロピレンなど)の代替品としての使われ方になります。

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フランス Plasticana社のデザイナーAndré Ravachol氏が手がけた「ヘンプ(プラスチック)シューズ」と「庭」の新しいかたち。(Jardins, Jardin という庭の展示会向けの作品)

などなど。

ほかにもまだまだ用途は考えられますが、とにかく、オガラでもこれだけの使われ方ヘンプはどの部位を取っても捨てるところがナイ(まだまだ多くの可能性を秘めている)、というのが良く分かります。

何せ、この凄まじい成長力です。これを利用しない理由はない、と思いますよね。

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種まきして約100日でこれだけ育てることも可能です(中国雲南省)

◆インテリア品にオススメ

そんなオガラを手軽に生活へ取り入れる方法としてインテリア品もオススメです。といっても、花瓶などの容器に入れて飾るだけ。簡単です。

おがらを花瓶にいれて

麻がらでインテリア

短く切って卓上に。とくにトイレでは自然の消臭剤になります

こんな風に、天井に埋め込んでしまうとか、も良いです。簾とか、タペストリーとしても良いかもしれません。

天井に敷き詰めた「麻幹(おがら)」

天井に敷き詰めた「麻幹(おがら)」。なかなかいいでしょう?

生け花にもいかがですか? 「Ikebana Atrium(イケバナアトリウム)」さんは、よく麻がらを作品に取り入れていらっしゃいます。どうですか???この素晴らしき麻花のコラボレーション。

◆オガラの機能性って?

客観的な試験データがあります。たとえば「消臭性」と「調質性」。

A.オガラの消臭性

オガラは実は消臭力があります。たとえば、アンモニア臭。キレイに消し去ってしまいます。

たとえば、紹介したヘンプペレットの消臭力。ある密閉された空間にアンモニアを投入して、どれだけ減少したか?の試験データです。100PPMのアンモニア臭はかなりやばいですよ・・・

アンモニアって、5段階臭気強度表示法でいくと、
臭気強度1:0.1ppm
臭気強度2:0.6ppm
臭気強度3:2.0ppm
臭気強度4:10ppm
臭気強度5:40ppm

ですから・・一瞬で意識失いそうです。これをたった1gですよ、、1g。

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B.オガラの調質性

オガラも非常に多孔質な素材。無数の微細な穴が空いていることにより高い調質性が実現されます。つまり、余分な湿気は取り込みつつ、乾燥状態になると取り込んだ水分を放出する作用がある、といえます。

先ほどの「ヘンプ・ワイナリー」は、そのメリットを活かしたかたち。

◆そんな国産麻がらを約125cmにカットしてみました

そんな国産(栃木産)オガラを125cmでカットしました。通常180cmくらいありますが、輸送、梱包箱の関係で約125cmが限界と判断しました。1kgで大体40~50本あります。(同梱不可。単品でご注文ください)。

500gのボリューム感

こちらは約1kgのボリューム感

◆国産 麻幹(オガラ)<栃木県産> 約125cmカット 1,000g(40-50本)
http://asafuku.jp/SHOP/A0146-1.html

精麻も併せて使ってみるのもいかがでしょうか?

精麻

精麻(栃木県)

◆野州産(栃木県)特等級品 精麻 10g(1~2本)<しおりサイズの麻紙付>
http://asafuku.jp/SHOP/A0111-1.html

【初稿】2016年1月26日
【更新】2018年9月21日

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