【蚊帳の中の上映会】こんどは”麻(からむしと麻)”と”木(茂庭のしなだ織、薩摩の紙漉き)”をテーマに
毎回大好評な『蚊帳の中の上映会』。
前回は “麻” と “竹” をテーマに、『からむしと麻』ならびに『竹縄(たかなわの郷』を上映しました。
●(参考)麻と竹を考える:『からむしと麻』 『竹縄のさと』
https://asafuku.net/?p=4733
今回も、民族文化映像所(通称:民映研)との共催で開催します。なんと3本立てです。
テーマは “麻” と “木” 。そうアサトキトがテーマです。
“麻”は、リクエストをお寄せいただく『からむしと麻』。前回に引き続きとなりますが、都合が合わなかった人も多くリクエスト高いため。また、正直何度みても新たな発見のある素晴らしい映像だからです。
◎「からむしと麻」の詳細は下記ページをご覧ください。
https://asafuku.net/?p=4733
続いて”木”をテーマには2本。『茂庭のしなだ織』そして『薩摩の紙漉き』になります。
日時は12月17日(土) 18:30~21:30。参加費は2,500円(事前決済:2,000円、ヘンプネルドリップ&麻の実食品の試食付き)になります。
以後、作品のご紹介。
◆茂庭のしなだ織
茂庭のしなだ織
1991年制作 31分 撮影地 福島県福島市飯坂町茂庭
建設省東北地方建設局摺上川ダム工事事務所委嘱/-制作意図-
ダムに沈む前に人々の暮らし振りを記録しておこうと企画された奥茂庭の第3弾である。
茂庭は福島県飯坂から摺上川を遡った山奥の村である。ダムに沈むため上流の三地域は昔から畑作を主として山仕事、炭焼き、養蚕を業として暮らしを立ててきた。その中で織物も、養蚕にかかわり行われてきた。この映画は、長らく「しなだ織」の技術を伝えてきた人の記録である。-あらすじ-
しなだ織の材料は木の繊維である。この辺りではマダと呼ぶシナの木は川に近いところに生えている。
春、シナの木が水を吸い上げて成長する頃、木を倒して皮を剥ぐ。樹皮の外皮は使わない。内側の皮だけ取って折り曲げておく、この束を陰干しにして保存する。内皮の匂いがたちこめると昆虫が寄ってきて甘い汁を吸う。 シナから繊維を取るのはここだけではない。東北全般にあったし、アイヌの人々はこの繊維で縛り縄をつくる。
冬、しなだ織が行われる。保存してあったシナの内皮を約一ケ月水につけて柔らかくする。水からあげて木灰を振込ながら丸めて釜にいれて炊く。この時にも木灰を山盛りにして炊き込む。灰汁の利用は生活の全てに関わっていることに注目しなければならない。 釜からあげ、すぐ水洗いする、糖分を洗い流し柔らかくなった繊維を細かく纏めて干す。この時に使う道具マダコキは手の中に入る二本の細竹で、水洗いしながらこいで行く。 柔らかくなった繊維を更に細かく裂いて一本にしていく。これをウムという。
マダの繊維は約 1 ㍍で端を縒り捩じって一本にし、籠の赤に溜めていく。このウミ方は指先の作業でなかなかわからないが、ゆっくりと見せてもらえた。 不思議なことに同じ方向に縒っていく。 同じ方向の指先の動きで何故縒り繋ぐことができるのか未だにわからない。 一本になった繊維に糸車にかけて縒りをかけ糸にしていく。糸車はしなだだけではなく麻、からむし、絹、木綿など全ての繊維を糸にするために必要なものだ。 糸車は紡ぐ人の体形にあわせて調節してある。 しなだ織は女の人のしごとだった。
糸をワクにかけてノベ、縦糸にする。糸ノベという。冬の作業になるので、天気が良ければ、外で、天候が悪ければ家のなかの広い所で糸ノベする。ワクは縦糸になる長さだけのヘソが出ていて、その掛け方で長さがきまる。この時にアヤをとっておく。アヤは織の基本で、糸が交差する部分をいう。こうして絡まないようにしばってオマキに巻いて地機(ジバタ)にかける。地機はいざり機ともいい、高機(タカバタ) 以前のものだ。あとは一般の機織りと同じ作業になる。
こうして出来たしなだ織は衣料にしなかった、桑を摘む袋に多く使われた、ユダンという。また醤油を絞る袋につかい、甑にもつかった。 しなだ織は自然から頂き、人の知恵と努力でつたえて来たものである。
日本では古来より、苧麻や大麻などの植物繊維とともに、野生の楮(コウゾ),榖(カジノキ),葛,山藤,科(シナノキ)などの樹皮繊維が利用されてきました。
今回テーマなのが「シナノキ」。日本古代織物のひとつで、樹皮繊維では日本最古の織物とも言われているようです。日本列島の山間部に自生し、歴史的に北方系の織物であり、アイヌ文化圏の織物でもあるそうです。
福島では、手間暇かけてつくった糸・生地を、人の衣には用いず、桑(蚕)を摘む袋に多く使われたそうです。言い方変えると、『養蚕のためにつくり続けられた織物』である点が非常に興味深いです。
樹皮繊維は、その手間暇はかかるため、麻布、あるいは、絹、木綿などが主に利用されてきました。海外でも同じでしょう。ただ、日本では細々ながらも樹皮繊維をつくり続ける方が残っている世界でも唯一といってもよい国ではないかと思います。
植物繊維(ヘンプ)を理解していくためにも、こうした樹皮繊維をみることも有用ではないかと思います。
◆薩摩の紙漉き
薩摩の紙漉き
1990年制作 30分 撮影地 鹿児島県姶良郡蒲生町上久徳
鹿児島県教育委員会委嘱/薩摩の紙漉きの歴史は奈良時代に遡る。江戸時代には藩の御用紙として奨励され、最盛期には蒲生(がもう)だけでも 500 軒余が紙を漉いていたが、現在は蒲生町の野村家と鶴田町の野元家のみがその技術を伝えている。これは野村正二、マツ子夫妻の、原料のカジ栽培から紙漉き、製品の仕上げまでの全工程の技術を記録したものである。
1 月 16 日、水神まつり。紙漉き場の井戸に奉られる水神に、1 年の紙漉きの無事を祈る。このころは薩摩の紙の原料、カジの木の収穫の季節でもある。刈り取ったカジは、皮を剝ぎやすくするために蒸す。そして近所の人たちも手伝って皮剝ぎ。それから 3 日ほど天日で乾かす。次にカジ煮。表皮を柔らかくし、アクを出すために苛性ソーダ液で煮る。さらに水に晒してアクをぬく。川に石を並べて堰にしたエゴとよぶ晒し場での昔風な晒し方も記録した。
布と同じよう、紙も繊維でできています。
江戸時代、薩摩国の蒲生(かもう)では500軒余が紙を漉く産地だったそうです。その紙づくりの模様を見ていきます。
原料は”カジの木”。楮(コウゾ)と同様に製紙用の繊維原料とされてきました。
予告編代わりに、下記ページには、現在唯一「蒲生の和紙」を受け継いでいらっしゃる小倉正裕さんの記事。
◎最後の紙漉き職人「蒲生和紙工房」にあり
http://sazma.jp/2016/06/02/386/
カジノキで作られた蒲生和紙は色・質がきれいで、抵抗力が強く引張強度も上々。酸やアルカリにも強いので長期保存に適しているとのこと。約1300年前にこの地域で漉かれた紙は、正倉院(奈良)にも保存されているそうです。
◆ヘンプ・ネルドリップコーヒー付、麻蚊帳の中での上映&波動スピーカーで
休憩時間には、ヘンプネルドリップコーヒー と 麻の実食品の試食。ヘンプ100%の麻蚊帳に囲まれて、音声は波動スピーカーにてお届けします。
■休憩時間には。。
大好評のヘンプネルドリップコーヒーとともに、麻の実食品とパンの軽食を用意いたします。
コーヒーの旨味は、その珈琲豆に含まれた油分にあります。ペーパードリップでは、せっかくの旨味が紙に吸着されてしまいます。ヘンプネルドリップでは、その旨味分となる油分が均一に液体に注入。その味は歴然。ぜひお楽しみに。
■蚊帳の中の上映会。。
ヘンプ100%の蚊帳で包まれた会場での上映会。とっても快適で、どこか心温かくなる空間です。
音声は、波動スピーカーで定評あるM’sスピーカー製でお届けします。
■蚊帳の中の上映会 概要&申し込み
・日程:2016年12月17日(土)
・時間:18:30~21:30(受付は18:00より)
・上映映像
『からむしと麻』
『茂庭のしなだ織』
『薩摩の紙漉き』
・参加費: 当日2,500円(税込)
※前売券 2,000円 下記Peatixページよりご購入ください。
http://peatix.com/event/221678/view
※当日お支払希望の方は 下記ページより入力お願いします。
https://goo.gl/forms/xkfLhjrC7EZcdxTl2
・場所:アサトキト(http://asatokito.jp/)東京・市ヶ谷駅近く
・共催:郷土映像ラボラトリー(https://www.facebook.com/kyoudo.eizou.labo/)
■メールで購読されませんか?
以下にメールアドレスをご登録ください。更新通知をお送りいたします。
コメント
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。