ヘンプの抗菌性・制菌(殺菌)性について
ヘンプ衣料品の特徴として挙げられる「抗菌」「制菌」について少々突っ込んで説明いたします。
抗菌・制菌って?
簡単にいうと、「抗菌」というのは「菌を繁殖させない」効果で、「制菌」というのは「菌を殺す(殺菌)」効果になります。繊維業界用語では「殺菌」といわずに「制菌」といいます。
抗菌性と制菌性がある素材ならば、当然菌は減ります。分かりやすくは抗菌性がないコットンと比べたら一目瞭然。コットンは菌が増えていく一方ですが、ヘンプは菌が減っていきます。
抗菌性試験と試験対象菌について
病原となる細菌には、それこそ様々な種類がありますが、一般衣料品の抗菌・制菌性は「黄色ぶどう球菌」を対象とすることがほとんどです。
アトピーに絡めて語られることが多い「菌」でもあります。
(参考)アトピーと黄色ぶどう球菌
http://www7a.biglobe.ne.jp/~sysoap/atopythink-10.htm
試験方法はJISで規定されていますが、その性能基準としては一般社団法人繊維評価技術協議会が規定しているものが採用されることが多いです。
試験結果公開
まずは、抗菌性試験の試験結果をお見せいたします。
※試験方法の詳細についてはこのページ(PDF)を参照ください。
表にある『静菌活性値』と『殺菌活性値』にご注目ください。
一般社団法人繊維評価技術協議会では、『静菌活性値』が2.2以上、『殺菌活性値』が0以上であることが抗菌・制菌効果があることの判定基準と規定しています。
この試験では、ヘンプは 『静菌活性値』が3.9、『殺菌活性値』が0.7の試験結果が出て、抗菌・制菌の効果があることを示しています。
ただひとつ天然機能性素材の限界が..
ただここで、ひとつ断っておかないけないのは、この抗菌性試験は、コットンのように抗菌性がない素材に対して抗菌性をもたせるための加工(抗菌加工剤)の性能を証明することが目的の試験になります。
つまり、もともと抗菌性がある素材、しかも、天然に機能性をもっている素材に対する試験(基準)ではないないんですね。
したがって、天然素材なので、試験ごとに性能数値がブレてしまうのです。
(試験担当者に理由を伺うと、天然ゆえの素材の状態によって、試験薬が染み込まなかったり、する場合があるのではないか?ということでした)
一定の抗菌・制菌の効果があることは示せますが、性能値ではっきり明示できない(試験性能値を保証できない)ところは心苦しいところです。
そもそも天然素材でこれほど抗菌・制菌性がある素材が珍しく(衣料用途ではヘンプくらい)、これもヘンプ独自の苦渋な悩み、といえるかもしれません。
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