《麻紙名刺PRJ.》光り輝く「精麻」の影に。その加工方法について。

『麻のお守り名刺プロジェクト』に絡めて製造中の麻紙ができあがってまいりました。いい風合いにできあがってます!!!

出来上がった麻紙。国産麻繊維を用いました。点々としているのが麻繊維。いい風合いに出来上がりました! 左の紙は、比較に用いた通常の白い厚紙。(分かりにくくてすいません。)

クラウドファンディング終了日まで残り数日になりました。先行のお得価格でお求めいただけます。ご賛同いただけた方、ぜひ参加くださいますとうれしいです。

◆日本伝統の麻(ヘンプ)の『お守り名刺』で良縁を!~想いをこめた”こだわり”麻紙~
https://www.makuake.com/project/asatokito/

 

■麻紙の麻繊維原料について。詳しく説明します!!

今回の紙パルプ原料は、国産の麻繊維を用いています。具体的には、栃木県の「精麻」加工をする時に発生する「繊維くず(一般的に「麻垢(オアカ)と呼ばれます」を用いております。今回は、このパートを少し詳しくご紹介いたします。

「精麻加工」について

まず、「精麻」についておさらいです。

「精麻」・・しめ縄や鈴緒、和弓や大凧縄などの日本伝統品にも使われます。日本の伝統的な麻(大麻) で連想されるのが「精麻」です。現在日本の麻供給の90%以上は栃木県で行われていますが、ほとんどの場合「精麻」目的で栽培・加工され出荷されます。

ところで、麻の茎の断面をはこんな感じになっています。

表面が繊維質(靭皮部)、内側が木質部=麻幹(オガラ)部になっています。精麻、糸は、この繊維部分を利用します。

麻加工においては、この茎から繊維を取り出す作業レッティング)がしばしば大きなポイントとなります。目的によって、様々な方法・手法があります。栃木県の場合は、堆積発酵法と呼ばれます。それ以外にも、雨露法、温水/冷水法、地浸水法などあります。

●堆積発酵法 でつくる精麻

この繊維質と木質部を、キレイに分離させることがまずの第1ステップ。栃木県では、以下の工程を行います。

  1. 麻抜き(収穫)
  2. 麻切り(オキリ)
    2m程度に切りそろえる。
  3. 葉打ち(ハブチ)
  4. 生麻まるき(ナマソマルキ)
  5. 湯かけ
    熱湯に入れて色を落とす。その後、裏返ししながら3~4日程度干し上げる。(「麻干し」と呼ばれます。)
  6. 麻ぶせ・床まわし
    繊維を剥ぎやすくするために発酵させる。大きな麻槽に水(発酵液)を張り、麻茎を浸す。①一回転させる作業を「床まわし」、②発酵を促す作業を「床ぶせ」という。30度の温度をたもち2~3日発酵させる。⑤~⑥の作業は毎日何度か繰り返すそうです。発酵しすぎると腐ってしまい、発酵が不十分だと皮が剥げなくなります。高品質の精麻をつくるためにも、熟練した経験に基づく「勘」が必要とされる工程。
  7. 麻はぎ
    表面がヌルヌルしてきた麻茎から表皮を剥ぐ。
  8. 麻挽き(アサヒキ)
    麻はぎで取り出した表皮から、繊維を取り出す作業。次章で細かくご紹介します。
  9. 麻掛け(オカケ)
    麻ひきを終えた繊維を室内で干し上げる。

詳細は伊勢麻振興協会のWebページをご覧ください。とてもわかり易く説明されていますよ。

麻農家の大変さは、「栽培」に体力と繊細さが要求されるだけでなく、職人的な「加工」の両柱が要求されるところにあること、もよく分かっていただけると思います。

麻の収穫~精麻加工について(伊勢麻振興協会Webサイトより) ※ぜひご覧ください。

▼▼伊勢麻振興協会 麻の栽培 紹介ページ
http://www.iseasa.com/hemp

 

●麻挽き(麻ひき)・・・そして、麻垢(オアカ)・麻糞(オクソ)

麻はぎで取り出した表皮から繊維を取り出す作業についてです。

先ほどご紹介したとおり、茎には 表皮部(繊維部)と木質部に分かれます。この部位をつなげているのが「ペクチン質」です。セルロースなどの植物細胞をつなげるセメントのような働きがあります。表皮にペクチン質が付着していると、腐敗や劣化の原因になるため、キレイに取り除く必要があります。

このペクチンをキレイに取り除き、また、繊維を一定の厚さに薄く、破れることなく、仕立て上げることが、よい精麻の条件となります。

麻挽き・麻ひき加工について(伊勢麻振興協会Webサイトより)

昔は、手で行っていました。「岩島麻保存会」の手挽きの模様をご覧ください。

 

いまは機械を用います。機械といっても、使いこなして、良い精麻を生み出すためには熟練の技と経験が必要になります。

麻ひき機

今回の原料は、この精麻で麻ひきしたときに生じる削ぎ落とした部位を用いています。栃木では「麻垢(オアカ)」と呼ばれています。

ちなみに、別の地域では「麻糞(オグソ)」とも呼ばれます。 なぜか? その部位の写真をお見せいたします。名前のいわれが分かります。

麻垢(オアカ)、麻糞(オクソ)

 

発酵した表皮の夾雑物(キョウザツブツ)、この段階ではキレイには映りませんね。ただ、これも良質な麻繊維の宝庫だったりします。

昔は、川で洗って(子供の仕事だったようです)、漆喰の原料などに使われていました。現在では、あまり需要なく、そのまま畑に戻すことが多いようです。再利用のためには手間暇かかることもあります。

 

オアカを保存・保管するために

先ほど、再利用のためには手間暇かかる、と申し上げました。

発酵した繊維で、腐敗の原因となるペクチン質を多く含んでいるため、保管するためには、このペクチン質を洗い落とす必要があります。

今回必要とした繊維原料 約140kgを溜めるためには、2軒の農家のご協力を得て、2年の月日を要しました。その間に腐敗すすんだりしたら大変です。

洗い落とす作業・・・これは二曹式の洗濯機で行います。しかし、これが大変な作業!! 15分1セット を 10~15回 行うのです。写真でお見せします。

泥だらけでしょう???

ただ、水を入れ替えて、繰り返し何回も洗います。

そうすると、、、

こんな風に、洗っても濁らず透明な水になってきます。15分1セットで 10~15回くらい。

すごい根気のいる作業です。麻農家さんの多大な協力のおかげです。

洗った後の麻垢(オアカ)。もはや 麻糞(オクソ)なんて表現はできない、光り輝く繊維の塊になります。

15分1セット✕15回くらい洗って、完全に乾燥させて保管した麻繊維です。

空気を含み、軽いため、約140kgの麻垢(オアカ)を運ぶには、ハイエース(業務用バン)まるまる一台必要でした。

今回は、敢えて「精麻」加工時に発生する繊維くずにこだわりました。いまや希少で貴重な国産麻繊維=精麻。精麻に絡めて出てくる未活用の部位(=オクズ)を活用したいと思いました。

ただ、このオアカだけでは紙の原料にはなりません。この後、紙の原料であるパルプを加工します。このパルプ化は無薬品・無農薬、家庭排水で実現するパルプ化技術。現在の技術と連携して、最高級の紙パルプ原料に仕立てていきます。そのあたりの話は、また次の機会にでも..

【追記→】パルプ化について、ブログつくりました! ご一読ください。
https://asafuku.net/?p=5700

ぜひ、麻のお守り名刺プロジェクトへのお力添えをお願いします。

▼▼▼麻のお守り名刺プロジェクト▼▼▼
https://www.makuake.com/project/asatokito/

<追伸>

精麻、欲しい方はこちらのページでお求めいただけます。この麻紙は過去につくった海外(中国)産繊維(紡績するときに用いる麻長繊維)です。

http://asafuku.jp/SHOP/A0111-1.html

 

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