オガラ(麻幹、おがら)活用術[まとめ第2弾]

麻福では、オガラ原料の普及拡大を目指して活用提案と素材提供を注力していきたいと思っています。

繊維部分(精麻や糸などに使われます)に比べて、まだ活用が限定的な素材かと思います。広く使われることで、オガラの付加価値を高め、麻の普及拡大に貢献することは大きな目的です。

◆まず、オガラって?

まず、オガラとは何か? 基礎的なご紹介をいたします。

ヘンプの茎は、断面図をみると、主に繊維質である「表皮」と芯の部分である「木質部」に分かれます。茎自体を発酵したり、水につけたり、雨風にさらしたりすることで繊維部分を剥いで(これをレッティングと呼びます)、糸などの繊維原料とします。

その繊維を剥いだ残り部分(=木質部)がオガラです。

(参考)日本の麻(精麻)加工における繊維の剝ぎ方は以下ページをご参照ください。
https://asafuku.net/?p=5670

 

◆オガラの形態について

オガラも粉砕レベルによって異なります。

日本で一般的にオガラというと「長細い棒」のような形状を指します。現在でも一番使われているのがお盆時期の迎え火・送り火です。ホームセンターやスーパーでも普通に販売されています(ただそこで売られているのは99%中国産です)。

そのほか、粉砕されたオガラも原料として多く使われます。オガラ(ヘンプ)チップ、オガラパウダーなどと呼ばれます。用途としてはヘンプクリートでつくる麻の家でしょうか。ヨーロッパ、オーストラリア、アメリカなど広く建てられています。

オーストラリアのヘンプハウス。壁にヘンプチップが用いられています。
https://inhabitat.com/gorgeous-northcote-hemp-house-receives-an-8-star-energy-rating-in-australia/

 

◆活用用途

このオガラの活用方法について紹介したのが以下のエントリーでした。

・麻幹(麻がら、おがら)の活用方法について(まとめ)。とっても奥深いです。
https://asafuku.net/?p=3541

ここでは、以下のような使い方をご紹介しました。ご関心ある方はご一読ください。

  • 茅葺屋根の下地に
  • お盆で(迎え火、送り火)
  • お祭りの松明(たいまつ)
  • 麻炭
  • 子供の遊び道具に
  • 麻建築材
  • 馬などの家畜の敷料
  • ヘンプペレット
  • プラスチックの充填材として
  • インテリア品

 

◆まとめ第2弾。麻福での使用例(2020年4月時点)

今回は、まとめ第2弾として、麻福での使用例をご紹介いたします。何かのアイディアにつながれば幸いです。

・インテリアに

お店の正面にくる部分に立てかけて使っています。

・パーゴラ風の屋根に

どこか南国風?なやぐらですが、天井部分にはオガラを用いています。いわゆるパーゴラとして、屋外にあってもいいですよね。ちなみに使っているのは伊勢麻のオガラです。
倉庫奥の新設立ちカウンター(まだ非公開)の屋根部分にはオガラを用いました。

・漆喰壁に

大麻博物館でパネルを立てかけたボードは、お手製の麻漆喰壁です。精麻をたっぷり混ぜ込んでいますが、粉にしたオガラも混ぜ込んでいます。

・床下に

いま構築中のヘンプモバイルハウス(まだ非公開)の床下です。オガラチップと麻炭を混ぜ込んだものを床下に入れ込みました。吸湿性、消臭性に優れた快適空間になることでしょう。

・目隠し板に

オガラを紐で簾状にしたものを、目隠し板にして使っています。(外宮参道店)

・タペストリーに

麻の断熱材と麻炭でつくったタイニーハウス(麻の家)にて。 その麻漆喰壁には、麻炭の墨で描かれたオガラのタペストリーをかけました。ちなみに、窓には麻100%のレースカーテン、麻畑の写真を添えて。

・お花に添えて

花瓶に添えるだけで、より華が咲いた感じです。生け花にはよくオガラが使われています。

・商品ディスプレイに(チップのパーティクルボード)

オガラチップでつくった建築用(パーティクル)ボードを商品ディスプレイに用いています。(外宮参道店)

・吸湿袋・調湿袋

オガラは吸湿効果バッチリ。自重の4倍の吸水力を有しています。袋に入れてタンスなどに。

 

・匂い袋(ハーブ香りの鮮度効果)

ラベンダーの香り袋の中にオガラチップを。大敵である湿気をオガラが吸湿。良い香りを長持ちさせる効果がありました。

・麻炭ペーパー

今後も具体的な活用方法を提案してまいります。

(コロナ騒ぎが収まりましたら、ぜひ伊勢の本拠へお越しくださいませ。)

 

◆さて、「太いオガラ」はご存じですか?有望な自然エネルギー資源としての可能性を感じ得ます。

こちらの写真をご覧ください。

左側で束になっているのが一般的な1cm位のオガラです。さて、右下の太いのは???

実は、これもオガラなのです。種子採取用に栽培された麻のオガラになります。

通常、精麻や糸用の繊維部分を得るために麻栽培がされますが、あまり麻が成長すると繊維部分が固くなってしまうため、ほどほどのところで刈り取ります。目安としては背丈2mくらい。

種子用は、繊維採取用の栽培と比べて、1ヶ月ほど長く栽培します。成熟に連れて幹はどんどん太くなります。(種子用は左右1m程度に枝が拡がり、そこに種が実ります。その重みに耐えるため、幹も太くなります。神秘的な話なので、いつか体系的に紹介いたします。)

とにかくも、この太いオガラ。なかなかな迫力です。実は堅さもあります。人の頭をかち割れるかと思います。『これは何でしょう?』と人に聞いてみると、99%の人が木材と回答する位です。

店舗風景から。鈴緒がかかっているのが種用の太いオガラです。精麻がかかっているのは通常よく見られる繊維採取用のオガラになります。

 

120日程度で4mほどに成長し、その幹はこれだけのエネルギーを有しています。上述紹介したようなパーティクル(建築)ボードやガソリンの代わりとなるエタノール燃料の材料にも使えます。木材また石油に代わるエネルギー資源としての可能性も凄いことが少し実感いただけるのではないでしょうか。

地球上のあちらこちらで、地球に過度な負担をかけることなく栽培できるのがヘンプです。100~120日でこの成長力。これだけのエネルギー供給力をもつ植物を人類が活用しない理由はありません。

  

◆最後に材料特性

さいごに、オガラの一般的な材料特性をご紹介します。特徴は、繊維と同じく、高い多孔質性にあります。無数の微細な穴がたくさん空いており、様々な効用につながります。

★吸湿力/吸水力

自重の4倍ほどの吸水力があると言われています。湿気もグングン吸いとります。

★消臭力

とくにアンモニアの消臭力はすこぶる強いです。下記記述をご一読ください。

オガラの消臭性

オガラは実は消臭力があります。たとえば、アンモニア臭。キレイに消し去ってしまいます。

たとえば、紹介したヘンプペレットの消臭力。ある密閉された空間にアンモニアを投入して、どれだけ減少したか?の試験データです。100PPMのアンモニア臭はかなりやばいですよ・・・

#(参考)アンモニアって、5段階臭気強度表示法でいくと、
臭気強度1:0.1ppm
臭気強度2:0.6ppm
臭気強度3:2.0ppm
臭気強度4:10ppm
臭気強度5:40ppm

ですから・・一瞬で意識失いそうです。これをたった1gですよ、、1g。2時間後には65.6%消臭、2時間後には95%を消臭します。

転載元:https://asafuku.net/?p=3541

★軽い

空気をたくさん含むので軽いです。もろい部分はありますが、弱すぎるということもないバランスが好まれます。

  

◆ぜひお試しください。

第1弾は『125cmカットにした繊維用のオガラ(麻幹、おがら)』ですが、今後、産地や粒度、太さ、量など、、提供バリエーションを増やしていきたいと思っております。

ぜひ自分だけのイチオシな用途を見つけてください。そして、よろしければフィードバックくださいますと嬉しいです。

★国産 麻幹(オガラ)<栃木県産> 約125cmカット
https://asafuku.jp/SHOP/A0146-1.html

 

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