糸・生地の漂白について。(補足)蛍光増白剤
糸・生地の漂白方法についてお問い合わせお受けいたしましたので、ここに改めて回答させていただきます。
●酸素(さんそ)漂白
当社の糸・生地は「酸素漂白」と呼ばれる方式にて行っております。
主要成分である「過炭酸ナトリウム」は水に溶けると「炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム、炭酸塩)」と「過酸化水素」に分解されます。
「炭酸ソーダ」は、無機物なので、河川の汚染等も引き起こしません。重曹と同じような家庭用アルカリ剤として強力な洗浄力がありますが、ほぼ無害な物質です。
一方「過酸化水素」は、弱アルカリ性水溶液中で加熱(一般的には40度以上のお湯で20分以上)した場合に、「活性酸素」と「水」に分解して酸化力を発揮します。この酸化力で色素を分解、つまり漂白します。
このように、酸素漂白に用いる「過酸化ナトリウム」は、漂白に用いた後でも、炭酸ソーダ・酸素・水に分解するので環境負荷がほとんどありません。漂白に用いた後は、単なる酸素と水だけになるので、家庭用浄化槽を設置しているご家庭でも比較的安心して使うことができる位です。
[参考]石鹸百貨さん
また、オーガニックコットン認証で最も厳格とみられる規格『GOTS』においても、以下のよう、酸素漂白は認められております。
規定の主なもの
→ 漂白は酸素系のみ、塩素系の漂白は禁止。
NPO法人 日本オーガニック・コットン協会「GOTS認証詳細」より
http://joca.gr.jp/gots-detail/
●塩素(えんそ)漂白
ちなみに、家庭用漂白剤というと一般的には「塩素系漂白剤」が広く市販されています。最も有名なのは「ハイター」ですね。
その主成分の「次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ)」は、強アルカリで強烈な酸化力によって、強力な漂白効果はありますが、用途や使用できる素材が限定(綿・麻・ポリエステル・アクリル)されています。柄ものには使えません。脱塩素処理が充分にできていないと、塩素の残留は繊維を痛めることもあります。
酸素系に比べると、強力で安いのがポイントです。
ただし、取り扱いに充分な注意が必要(ゴム手袋にエプロン、ゴーグル着用が望ましい)なのと、万一、原液のまま漏洩してしまと環境汚染にもつながってしまいますので、取り扱いには充分に気をつける必要があります。
酸性の液体と重なると、有毒な「塩素ガス」を発生するので、酸性タイプの洗剤液とは絶対に混ぜないようにしてください。排水管の中で塩素ガスが発生してしまう事故もあります。取り扱いには充分にお気をつけください。
(参考)まぜるな危険(花王ホームページより)
http://www.kao.com/jp/qa_cate/clothbleach_03_01.html
●蛍光漂白
最後に、漂白に関係して、「蛍光剤」についても触れておきます。いわゆる「蛍光漂白」ですね。
上述した酸素漂白/塩素漂白は、色素を破壊する方法ですが、目に入ってくる反射光を補って白く見せる方法があります。蛍光増白剤(蛍光剤)といわれるもので、言い換えると、目をごまかして白く見せる薬剤といえます。
蛍光増白剤の問題としては大きく2つあります。
1つは安全性の問題です。一般的に蛍光増白剤は、皮膚刺激、アレルギー反応、発がん性物質・環境ホルモンの恐れがある物質とされています。
実際、日本では下記の領域において、法律で使用を規制されています。
・ 食品衛生法:
食品は勿論のこと、その包装材料、紙コップ、台所用ふきん、食器、紙ナプキン、ケーキの敷き紙、包装箱などに禁止。
・ 薬事法:
生理用品、紙おむつ、ちり紙、トイレットペーパーなどに禁止。
・ 日本薬局方:
ガーゼ、包帯、脱脂綿、マスクなどに禁止。
・ JIS規格 :
ノート、便箋、封筒などに禁止。
これだけ禁止されていても、洗濯用洗剤だけには使用が認められています。
無害だとしている日本の関係学会もあるようですが、蛍光剤入り洗剤の使用は避けていただくのが賢明です。
2つ目の理由は、衣料の変色トラブルです。
下記は中立的な繊維試験機関のページからですが、洗濯によりベージュ色のタンクトップがムラ状に変色してしまっている写真です。
蛍光増白剤が衣類に付着することで、色相変化が発生してしまいます。生成りの場合は白っぽくなり、淡色は色相変化してしまいます。
(詳細)http://www.kaken.or.jp/complaint/0210/
以上より、麻福では、蛍光剤入りの洗濯剤を避けていただくよう、取扱注意表示欄に記載いたしております。
最近は少なくなってはいるようですが、まだまだ見かけますので、購入時にはご留意ください。
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