《麻紙名刺PRJ.③》ヘンプペーパーの価値について(まとめ)

2回に分けて原料・製造方法についてお伝えしてきました。

①光り輝く「精麻」の影に。その加工方法について。
http://asafuku.net/?p=5670
②麻紙から創る未来。
http://asafuku.net/?p=5700

本日は改めて、ヘンプペーパーの一般的に言われている価値についておさらいいたします。

1.強力、長持ち

ヘンプは、天然素材の中で最強クラスの強靭性をもった繊維です。また湿気に強い繊維なので、長持ちしますね。

「東大寺献物帳(とうだいじけんもつちょう)」

奈良から平安時代にかけて、詔書・勅書・宣命と言った重要な公文書ですが、これは麻紙が使われたといわれています。いまでも、奈良の正倉院に展示されていますが、1200年経った現在でも光り輝いています

2.木材代替

紙全体における非木材の紙パルプ生産量は0.3%ともいわれます。無計画な森林伐採による諸問題は皆様ご存知のところです。

およそ100日で3~5m成長できるヘンプです。温かいところでは二毛作も可能と言われます。

木材と比べて単位面積あたりの繊維採取量は4倍以上とのことも言われます。たとえば、耕作放棄地にはヘンプを植えて、紙用の繊維を採取していくような流れは素敵ですよね。

100日で4~5m成長するヘンプ(気候等にもよる)

3.紙のリサイクル性に優れる

現実的なのは、”木材パルプの補強材として強靭なヘンプ繊維を混ぜる”ことではないでしょうか。これスゴイ可能性を秘めていると思うのです。

カナダの研究によると、木材パルプだけだと3回程度しかリサイクルができないところ、”ヘンプ繊維を10%混ぜることで7回以上もリサイクルできた”そうです。

現在ある木材由来の紙資源を、より長く使っていくために、ヘンプ繊維を活用していくことは素晴らしいことと改めて思います。

4.循環、ゼロエミッション

ヘンプ製品普及協会が手がけられたヘンプペーパーの紹介ページのイラストが秀逸です。

ヘンプ製品普及協会Webサイトより
http://www.partie.net/hpsa/hemp_paper2.html

5.人類の歴史を刻んできた紙

麻紙の歴史も古いです。世界中で使われてきました。よく言われている事例を紹介します。

 

  • 中国で出土した西漢紙として、放馬灘紙が有名であるが、これは、現存する紙のうち最も古く、西漢(前漢)の文帝・景帝(紀元前180~141年)のものであるが、ヘンプが利用されていたことが分かっている。断片とはいえ、2100年以上も悪条件の中で残った抵抗性は、驚くべきといえよう。
  • 紀元前105年、中国後漢の蔡倫が書写を用途とした紙を発明。使い古した麻の布、麻頭、弊布、魚網(いずれもヘンプが原料)を材料に利用。その後、中国では写本を中心にヘンプが利用される。
  • 敦煌石室写経紙(399~960年)に及ぶ23種類の資料について、大部分はヘンプが使われており、こちらもすでに1000~1600年の保存に耐えていたことが分かる。
  • 新疆出土紙では、李柏の手紙の下書きである「李柏文書(328年)」が、1909年に大谷探検隊によって発見されたが、これもヘンプが使われていた。そのほか、大量の古代紙が新疆地区の各所で発掘されており、いずれも3~9世紀にまたがるものであったが、いずれもヘンプが用いられていた。
  • 我が国が世界に誇り得る奈良時代(8世紀)の正倉院文書もヘンプを使用。
  • 奈良朝仏教の3大偉業のひとつ百萬塔陀羅尼(770年に完成)にもヘンプが利用されていた。
  • エジプトで1877~1879年に大量に出土された古文書をライネル・コレクションと称されているが、そのうち8~10世紀のアラブの古代紙はヘンプが原料であった。
  • 蔡倫の製紙方式は、長い年月をかけてシルクロードを伝わった。
  • イタリアで最初の製紙一大中心地となったファブリアノでの現存する最古の文書は1283年当時のものだが、これもヘンプが原料であった。
  • 活版印刷発祥の地とされるドイツに製紙業を紹介したのはファブリアノの紙すき工であったが、1450年、活版印刷が発明された頃の紙もヘンプが利用されていた。
  • 同時代(15世紀)より、コロンブスの時代から1900年代まで、船上の地図や図表などの資料、聖書などもヘンプ繊維が入った紙が利用された。グーデンベルクの最初の聖書、アメリカ合衆国の独立宣言など。
  • 日本では、平安時代以降、製造に手間がかかる等の理由から楮が中心となってしまったが、1926年、初代岩野平三郎(福井県)にて麻紙が復活。これが現在の「雪肌麻紙」につながり、それ以前の時代になかった絵具を厚く塗り重ねるといった表現ができるようになり、横山大観や、近年では平山郁夫なども好んで用いて、新たな日本がの表現の可能性を広げた。
  • 旧ソ連のルーブル紙幣。ユーロ紙幣の一部にもヘンプパルプは利用されている。
  • 現在は、ヨーロッパにて、たばこ巻紙用の用途を中心に生産されている程度。

 

 

そして何より、風合いよく、趣よい紙になりました!

できあがってまいりました麻紙です。本日、マイクロミシン加工の試験紙ができあがってまいりました。とってもいい紙になっています。

とりいそぎ、スマホ写真で申し訳ありませんが、共有まで。

マイクロミシン加工が施された麻紙。

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