ヘンプ「落ち綿」・・”繊維ゴミ”でも立派な『多機能性 天然繊維』

ヘンプ原料シリーズ 第2弾。

ヘンプ原料マップ

冒頭の写真の素材は何でしょうか? これはヘンプの「落ち綿」といいます。

 

●「落ち綿」って

糸を紡績する工程では、大量の「繊維くず」が発生します。この繊維くずを『落ち綿』といいます。

(紡績については、過去記事『「国産大麻糸(手績み糸)」と「ヘンプ糸(紡績糸)」を比較する』もご参照ください。)

「茎」の部位を100%とすれば、茎から繊維を剥いで、下記のような長繊維にする段階で30%に減ります。

ヘンプ長繊維

この繊維からスライバーをつくっていきますが 超繊維の約30%程度(茎全体からみると10%)しか残りません。。70%は繊維くず化してしまいます。

ヘンプ スライバー

ヘンプスライバーから糸になるのも、そのうち半分くらいです。茎全体からみると5%程度。

ヘンプ麻糸

この繊維くずが一般的に「落ち綿」といわれていますが、こうした紡績工程で否応なく発生してしまう副産物なのです。

ヘンプ落ち綿

●落ち綿の行く末

こうしてできた「繊維くず」ですが、行き末は様々です。

その前に落ち綿には紡績機械の上に上がってくるものと、下(床)に落ちてしまうものがあります。下に落ちてしまうのは、不純物をたくさん含んでしまうために、基本廃棄となります。

・混紡糸

コットン繊維などと混ぜて混紡糸(複数の素材でつくられた1本の糸)がつくられます。(特にコーマと呼ばれる工程で出る落ち綿が使われます。)
ただ残念ながら、混紡糸として用いられるのは、ある程度の繊維長が必要であるため、落ち綿発生量全体の一部です。

・中綿(ただ少し不完全)

クッションなどの中綿として使われていることもあります。
ただ、”不完全”と補足したように、「落ち綿」単体ではハリがないのと、綿状になっているとはいえ繊維が均一になっていない(繊維が固まったりしています)ので、クッション性がなく(すぐペシャンコになる)、中綿としては不適合です。

・廃棄処分

加工初期時、とくに、繊維以外の不純物が混入されていると利活用ができにくいので、そのまま廃棄されている分も多いです。この「落ち綿」の活用方法は、まだまだ開拓されてもよいのではないかと思います。

レーヨン糸のように、いったん薬剤(苛性ソーダ)で溶かして不織布化することもできます。昔の昔、以下のようなダスターを販売したこともありました。。

ちなみに、竹レーヨンと基本的な製造法は同じ(詳細→https://asafuku.net/?p=3339)です。ドロドロに溶かした液体を小さい穴に通して糸状にするか、紙をすくように不織布化するかの違いです。

いったんドロドロに溶かすので、糸の分類は竹レーヨンと同じ化学繊維になります。原料はオーガニックな素材でも、糸のつくり方が化学的な製法だと化学繊維になるわけです。 #あ、竹レーヨンもですよ。世の中の竹衣料品はほぼ竹レーヨンです(詳細→https://asafuku.net/?p=3339

 

●「落ち綿」を用いた「ヘンプ中綿」の検討

さて、麻福では、この「落ち綿」の活用方法として、「中綿」への活用にまず焦点を置いてきました。

「繊維くず」といってもヘンプ繊維。「抗菌」「消臭」といったヘンプの機能性はそのまま活かされます。クッションや布団などの中綿として使うだけで、抗菌性・消臭性のある実用的な製品ができあがります。捨てられるのは、あまりにもったいない。

ただ、繊維特性上、中綿として使うためには、ほかのハリのある素材と合わせる必要がありました。既に申し上げたとおりヘンプの「落ち綿」だけではハリがなく中綿として使えません。

通常、中綿の素材としては、世の中ポリエステルがほとんど。天然素材で中綿をつくる工場はあまりありません。天然素材は、手間がかかる上に、繊維くずが残ってしまうので、天然素材専用の製造ラインで行う必要があるからです。

ただ、ものづくり日本。天然素材の製綿に特化した工場があり、製造協力を得てつくったのが「ヘンプ手芸綿(布団綿)」でした。

オーガニックコットンの落ち綿(和布団用に用いる硬いタイプ)と混ぜてつくります。

 

●ヘンプ中綿(手芸綿、布団綿)

ヘンプ手芸綿(布団綿)はシート状になっています。1つの塊は約300g。広げると1畳分の大きさになります。

ヘンプ(麻)コットン布団綿(中綿)

クッション、布団、枕、、で使ってもヘタらないように、繊維が太く弾力性のある高級オーガニックコットン布団綿(インド産)と混ぜております。ヘンプ落ち綿がやわらかいので補足させる必要があります。

もちろん、ヘンプ繊維はまんべんなく均一に混ぜられており『ふわふわ』。落ち綿の原型をとどめておりません。

ヘンプ布団綿(中綿)

ヘンプ布団綿(中綿) ※拡大

●「ヘンプ手芸綿」の活用用途

・敷き布団/掛け布団

※ヘンプわた入りの商品は諸般の事情で終了しました。

まずは、王道のヘンプ布団。敷き布団は、このヘンプ中綿が6kgも入っています。

ヘンプ布団セット

ヘンプ敷きふとん(現在のモデルは、オーガニックコットン100%となっております):http://asafuku.jp/SHOP/D0011.html

ベッド(布団)マット(完売御礼品)は、この布団シートをキルティングしています。

ヘンプ麻パッド

ヘンプ麻パッド(完売御礼品):http://asafuku.jp/SHOP/A0099-1.html

もちろん「枕」の中材として使うことも可能です。その他、「クッション」も良いですね! いま試作開発中。受注生産でも承りますので、ご関心ある方はお問い合わせください。

 

また、アコアコスタジオさんの製品もオススメ。

ヘンプ スリングホルダー

ヘンプのスリングホルダー! これもヘンプ中綿が使われています。

★ヘンプ・スリングホルダー(アコアコスタジオ)
http://item.rakuten.co.jp/akoakostudio/holder/

★こちらの記事も併せてご覧ください。
『赤ちゃん(子供)にヘンプ(麻)を!!ベビー用素材に最適な理由(まとめ)』
https://asafuku.net/?p=1375

 

・半纏(はんてん)

・中綿ジャケット

はんてん、中綿ジャケットはオススメです。手芸品でつくられている方は多くいらっしゃいます。ダウンジャケットは、ちょっと重くなるので難しいかと思いますが、中綿を数枚使った上着は肌寒くなってくる季節にももってこいです。

 

・手紡ぎ糸

この綿から糸を手紡ぎされる方も大勢いらっしゃいます。スライバーでやるよりチャレンジしやすいかと思います。

...その他。いろいろとアイディア出てきますでしょうか。

そんな「へンプ中綿(手芸綿・布団綿)は下記より。是非お試しください。。

◆【日本製】ヘンプ/オーガニックコットン手芸用わた(中綿、布団わた)
https://asafuku.jp/SHOP/C0042-2.html

ヘンプ(麻)コットン布団綿(中綿)

ちなみに、柿渋で染めたヘンプ落ち綿を用いたバージョンもございます。試作品で少々お高くなりますが、少量の使い方にはよろしいかと思います。残りわずか。

【柿渋の効用】消臭、有害物質の分解

(株)トミヤマさんの協力で試作しました。
https://www.kakishibu.com/kakimoko/index.html

◆【日本製】柿渋染めヘンプ/オーガニックコットン手芸用わた(中綿、布団わた)
https://asafuku.jp/SHOP/C0042-3.html

 

【初稿】2014.09.6
【更新】2018.9.24

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